栄養学講座
治療家のための漢方薬講座

インタビュー

インタビュー

セルフメディケーションに貢献している治療家たち

Q1. 日本の医療費が高騰している原因はなんでしょうか?

「昔の人は『病気は自分で治す』発想がありました。」

 今はちょっとしたことでお医者さんに行く人が多くなりました。昔は自分で食事をコントロールしたりとか体に良いものを積極的に摂り入れていました。冬は生姜を沢山入れて鍋を作るとか、そういった「家庭の知恵」みたいなものがあったんですね。 今は冬でもアイスクリーム屋さんがありますし、体を冷やす食べ物が沢山あります。若い奥さん方はそういうものが体に悪い影響があることを分からないまま、お子さんにもどんどん食べさせてしまっています。それでお腹を壊したり風邪をひいたりなどしてすぐに病院に行ってしまうわけです。

宮崎隆行先生

 今は昔ながらの「家庭の知恵」が失われてしまって、「すぐに病院に行けばいいや」という安易な考え方をされている方が増えています。昔はお医者さんが少なかったので「病気は自分で治す」という発想でした。病院は「本当に症状が悪化しないと行かない場所」でした。ちょっと良くなれば病院から処方された薬も飲まなかったものです。今の日本人はそうじゃなくて、体調が悪くなったらどうしたらいいのかをお医者さんに頼ってしまう体質になっている。自分で体を管理する意識というものが薄くなっていったのが日本の医療費の高騰を招いている要因の一つではないでしょうか。


「治療院はお客さん自身で症状の原因を気付く、「気付きの場」です。」

 今までの治療院はマッサージで筋肉をほぐしたり、気持ちいとか、コリを取るなどが一般的イメージです。私は施術を通じてお客さん自身に「こんなところが痛い」「この痛みは肝臓に通じている」とかそういった感覚をもってもらう機会にしたい ですね。自分の体の状態をチェックできる場所。治療院はそういう役割ができるんじゃないでしょうか。ここが痛いから肝臓が疲れているんじゃないか、じゃあちょっとお酒控えようか、この原因はパソコンのやりすぎで目が疲れているから、ち ょっとストレッチしようかなと、そういう風にお客さんを導いてあげることが出来たらなと思います。 皆さん仕事に没頭して、今自分がどういう状態がどうなっているか、自分のどの部分が悪くなっているか分からない人が増えたと思います。そんな現代こそ、治療院がお客さん自身で症状の原因に気付く、「気付きの場」となるべきだと思います。お客さんのコリや症状をその場で和らげることも大事なんですけど、何より何が原因でそうなったのかを気付いてもらう場所。そういう意識で私はやっています。


Q3. 先生の目指す治療家像を教えてください。

「未病治療が出来る養生法を教える「健康の道案内」ができる治療家でありたい。」

 自分で今の体の状態を気付いてもらって、そこから今度は自分自身で健康になっていく道を教えてあげたいですね。ですが今は健康法などのそういった情報が氾濫していますので、そこで何を選ぶかが非常に重要になってきます。なので私はただ施術するだけでなく、その人にピッタリの健康になる術となる養生法も教えています。しかし、その人に「アレやめて」「コレやめて」というのはあまり言わず、その人なりに楽しく健康となる体造りを出来る限り手助け出来るような「健康の道案内」が出来る治療家でありたいです。 そういった地道な活動が未病治療の知識を持った人を増やし、病気にならない人が増え、日本の医療費も減っていくのではないでしょうか。セルフメディケーション社会といってもその術を教えてくれる人や機関は今の日本にはないですから、それを担えるのが伝統医療である治療院であると思います。


宮崎先生 石井先生